ト書きであんまり視点にこだわるというのは
映像のシナリオだとあまり歓迎されないことかも知れない。
なぜならそうした描写は、
広い意味で「カメラワーク」「演出」の範疇に入ってしまうから。
ただ、漫画原作では読者を主人公に感情移入させるため、
原作者がこの『視点』を完璧にマスターする必要がある。
たとえば、主人公をAクンとしよう。いじめられっ子。
で、ライバルがBクン。こっちはいじめっ子。
さてこの場合、主人公Aクンに感情移入させるとしたら、
ケンカのシーンなどをどう描くべきか。
いちばんダメなのは、こーいうパターン。
↓
「BクンはAクンを殴った」
「AクンはBクンの攻撃に耐えている」
視点がゴチャゴチャ。
Bクン目線だったり、Aクン目線だったり。
なのでAクンが主人公なら、こうすべき。
↓
『AクンはBクンに殴られた』
『AクンはBクンの攻撃に耐えている』
これなら視点がAクンで統一されているから、
Aクンも辛そうだな~、と感情移入しやすい。
ここまでで、主語を主人公で統一するだけ? と思ったあなた。
そんなに単純でもないです(笑)
例えば、こーいうのはAクン視点としてアリなのだ。
↓
「拳を振り上げ、殴りかかるBクン!」
この場合、動作の主体は間違いなくBクンなんだけど、
さっきの「BクンはAクンを殴った」と違って
明らかに読者に向かって殴りかかる『絵』が想定できる。
つまり、読者はAクンと同じ視点で
Bクンの拳がグワン! と迫ってくるのを感じられると。
読者の感情移入とは、
『視点』と『キャラの信念』の両方で
一貫性を守ることによってのみ促されるのだ。